AIに入れていい情報・ダメな情報。ひとり事業主のための線引き
お客様の名前や連絡先をAIに貼り付けていいのか。個人情報保護法の観点と、実務でそのまま使える判断基準を整理しました。
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AIが便利だと分かってくると、必ずこの疑問にぶつかります。
「お客様の名前や住所を、AIに貼り付けてもいいのか?」
結論を先に言います。原則ダメです。 ただし、やり方を変えれば同じ作業はできます。
なぜダメなのか
理由は2つあります。
1. 入力した内容が、AIの学習に使われることがある
AIの会社は、入力された文章を「AIをもっと賢くするための材料」として使うことがあります。設定で止められる場合が多いのですが、初期設定では有効になっていることがあります。
お客様の個人情報が学習材料として取り込まれた場合、それを後から取り消すのは現実的に困難です。
2. 個人情報保護法の問題になる
お客様から預かった個人情報を、本人の同意なく外部のサービスに渡すことは、個人情報保護法上の問題になり得ます。
「AIに聞いただけ」という感覚でも、法律上は「第三者に提供した」と評価される可能性があります。特に、健康状態や病歴といった情報は「要配慮個人情報」として、より厳しく扱う必要があります。
この判断は事業の内容によって変わります。判断に迷う情報を扱っているなら、専門家に確認してください。
入れてはいけないもの
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 氏名・住所・電話番号 | お客様、取引先の担当者 |
| 健康・病歴の情報 | 症状、通院歴、処方内容 |
| 金融情報 | 口座番号、カード番号 |
| 公的な番号 | マイナンバー、保険証の記号番号 |
| ログイン情報 | ID、パスワード、APIキー |
| 契約書の原本 | 相手方の情報が入ったもの |
迷ったら入れない。 これで困ることはほぼありません。
入れていいもの
- 自分の事業の一般的な話(業種、サービス内容、料金体系)
- 公開されている情報(自社サイトに載せている文章)
- 個人が特定できない形に直したもの(後述)
- 一般的な質問(「訪問系サービスの案内文の書き方」など)
実務でそのまま使える回避策
「じゃあお客様向けの文書は作れないのか」というと、そんなことはありません。やり方を変えるだけです。
方法1:仮の名前に置き換える
これが一番簡単で、実務的です。
❌ 「田中花子様(奈良市○○町)へのお礼状を書いて」
⭕ 「A様へのお礼状を書いて」
AIには「A様」で書かせて、出てきた文章の「A様」を自分で本名に置き換える。手間は10秒です。
方法2:型だけ作らせて、中身は自分で入れる
「請求書の文面の型を作って。名前と金額は空欄にしておいて」と頼み、空欄に自分でデータを入れる。
定型書類はこのやり方で十分作れます。むしろ型を再利用できるので、こちらのほうが効率的です。
方法3:手元のパソコンの中だけで完結させる
少しハードルは上がりますが、個人情報が入ったファイルをネットに送らず、パソコンの中で処理するやり方もあります。ここまで来ると設定の知識が必要なので、必要になってから調べれば十分です。
設定でやっておくべきこと
どのAIを使うにしても、「入力内容を学習に使わせない」設定は最初に確認してください。
設定画面の中の「データ管理」「プライバシー」といった項目にあります。名称はサービスごとに違い、更新もされるので、お使いのサービスのヘルプで「学習 オプトアウト」と検索するのが確実です。
ただし、この設定をしたからといって、個人情報を入れていいことにはなりません。 学習に使われないことと、外部に送信されないことは別の話です。
従業員や外注先がいる場合
自分だけが気をつけていても、他の人が個人情報を貼り付けてしまえば同じことです。
人を使っているなら、「お客様の名前はAIに入れない」という一行のルールを共有しておいてください。細かいマニュアルは要りません。この一行だけで大半は防げます。
まとめ
- お客様の個人情報は原則AIに入れない
- 学習に使われる可能性と、個人情報保護法の両方が理由
- 「A様」に置き換えるだけで、ほとんどの作業はできる
- 「学習に使わせない」設定は最初に確認する
- 迷ったら入れない。判断が難しい情報なら専門家に確認する
AIの間違いを見抜く方法についてはAIが平気で嘘をつく理由と、嘘を見抜く3つの方法にまとめています。