AIで作った画像や文章に「AI使用」と書くべきか。迷ったら「本物と勘違いされるか」の1点で決める
チラシやSNSにAIで作った画像を載せるとき、「AI生成」と書くべきか迷う人が増えています。日本では一律の表示義務は見当たりませんが、YouTube・TikTokなどは「本物に見えるもの」に表示を求めています。そして表示を書いても、実物より良く見せる画像は許されません。使う場面ごとの判断表、表示の書き方、よくある失敗をまとめました。
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先に結論を書きます。
「AI使用」と書くかどうかは、AIをどれだけ使ったかではなく、「見た人が本物の写真や本人の言葉だと勘違いするか」で決めます。勘違いされるなら書く。されないなら書かなくてよい。そして、商品そのものやお客様の変化をAIで作るのは、表示を書いても駄目です。
以下、なぜそう言えるのかと、場面ごとの判断を整理します。法律の細かい判断が必要な場面では、必ず消費者庁などの公式窓口か専門家に確認してください。
いま決まっているルールを3つに分ける
「AI表示」の話は、ごちゃ混ぜにすると分からなくなります。3つに分けると見通しがよくなります。
① 日本の法律 店主が2026年10月時点で調べた範囲では、日本の法律に「AIで作ったものには必ずそう書け」という一律の決まりは見つかりませんでした。EUでは2026年8月からAI生成物の表示ルールが動き始めていますが、日本国内の小さなお店がすぐ縛られる話ではありません(EU向けに売っている場合は別です)。
② 投稿先のサービスのルール こちらはすでに決まっています。公式情報を整理すると、
- YouTube:視聴者が「実在の人物・場所・出来事」と取り違えそうな、本物らしい映像は開示が必要。アニメ、明らかに架空のもの、色調整や背景ぼかし、台本づくりやアイデア出しにAIを使っただけなら不要
- TikTok:本物のように見える場面や人物が、AIで作られたか大きく編集されている場合はラベルが必要。ラベルがないと削除や表示制限の対象になり得る
- Instagram:スマホアプリにAIコンテンツのラベルを付ける機能がある(パソコン版では使えない)
- Google広告:一部の国や地域の規制ではAI作成の表示が求められ、ラベルを付けるのは広告主の責任、と案内している
どこも基準は同じで、**「本物と勘違いされるか」**です。AIを使ったかどうか、ではありません。
③ 景品表示法(ウソの広告の決まり) これが一番大事です。消費者庁は、商品やサービスの品質を実際より著しく良く見せる表示を禁止していて、わざとでなく、うっかりでも対象になると説明しています。
ここで勘違いしやすいのが、「AI生成と書いておけばセーフ」という考え方です。表示は免罪符になりません。実物より良く見える料理写真をAIで作り、隅に小さく「※画像はAIで生成」と書いても、お客様が「この料理が出てくる」と思えば問題は残ります。
場面ごとの判断表
| 使う場面 | AI表示 | 判断の理由 |
|---|---|---|
| チラシの背景・挿絵・季節のイラスト | 不要 | 誰も本物の写真だと思わない |
| 文章のたたき台をAIに書かせ、自分で直したお知らせ・ブログ | 不要 | 内容の責任は自分にある。下書きの道具と同じ |
| 商品写真の背景を消した・明るさを直した | 不要 | 商品そのものは本物。ただし色や形を変えたら下の行へ |
| 店内・外観を「実際と違う雰囲気」に作り替えた画像 | 書くか、使わない | 来店して「写真と違う」と言われる。表示しても期待はずれは残る |
| 料理・商品・作品そのものをAIで作った画像 | 使わない | 表示があっても「実物より良く見せる」問題が消えない |
| 施術前後・使用前後など「変化」を見せる画像 | 使わない | 効果を誤解させる典型。業種によっては別の法律の規制もある |
| 実在しそうな「お客様」や「スタッフ」の人物画像 | 書く(できれば避ける) | 実在の人の声だと受け取られる |
| AIで作った声・顔で自分が話している動画 | 書く | YouTube・TikTokの開示対象そのもの |
| お客様の声・口コミをAIに書かせた文章 | 使わない | 存在しない声はそもそも作ってはいけない |
太字の「使わない」の行は、表示の問題ではなく「やってはいけない」側です。ここだけは覚えておいてください。
迷ったときの3つの質問(1分)
判断表にない場面では、次の順に自分に聞きます。
- 見た人は、これを本物の写真・本人の言葉だと思うか? 思わないなら表示は不要。終わり
- 思うなら、それは商品やサービスの中身に関わるか?(料理、仕上がり、効果、お店の様子など)関わるなら、AIで作るのをやめて本物を撮る
- 中身に関わらないなら、表示を書く。 投稿先にラベル機能があればそれを使い、なければ画像の近くに書く
この3つで、ほとんどの場面は1分以内に決まります。
表示を書くときのコツ
書くと決めたら、次の3点を守ります。
- 画像のすぐ近くに書く。 ページの一番下にまとめて「一部の画像はAIで作成しています」と書いても、見る人には届きません
- 何がAIなのかを書く。 「AI使用」だけでは、全部がウソなのか一部なのか分かりません。「イメージ画像(AIで作成)」「背景のみAIで作成」のように範囲を書きます
- 投稿先のラベル機能を優先する。 TikTokやYouTubeは自分で付ける仕組みがあり、付けずに投稿すると制限される場合があります。キャプションに書くより確実です
文例としては、これくらいで十分です。
※この画像はイメージです(AIで作成)。実際の店内とは異なります。
よくある失敗と回避策
失敗1:小さく「AI生成」と書いたから大丈夫だと思った → 表示は「勘違いさせない」ためのもので、「実物より良く見せていい」許可ではありません。商品そのものの画像は本物を撮ります。
失敗2:なんでもかんでも「AI使用」と書いた → 挿絵や文章の下書きにまで書くと、お客様は「このお店は全部AIなのか」と身構えます。本物と勘違いされないものには書かなくてよい、と割り切ります。
失敗3:「お客様の声」をAIで作った → 実在しない感想を載せるのは、表示以前の問題です。本当にもらった感想だけを、本人の了解を取って載せます。
失敗4:スマホの自動補正をAI生成と同じだと思って悩んだ → 明るさや色の調整、背景ぼかしは、YouTubeの基準でも開示不要の例に入っています。商品の形や色を変えていなければ気にしなくてよいです。
失敗5:海外のお客様向けのページで、日本の感覚のまま載せた → EUなどは表示のルールが日本より先に進んでいます。海外向けに売っているなら、その国のルールを専門家に確認します。
向かない人・この記事では足りない場面
- 医療・美容・健康食品・不動産など、広告の規制が厳しい業種の人。 景品表示法以外の法律や業界の決まりが重なります。AI画像を広告に使う前に、必ず業界団体や専門家に確認してください
- 広告をたくさん出していて、出稿先が複数ある人。 媒体ごとにラベルの条件が違い、変わるのも早いので、出稿のたびに各媒体の公式ヘルプを確認する必要があります
- 選挙や社会問題に関わる発信をする人。 各サービスとも、この分野はラベルがあっても許されない範囲が広く取られています
まとめ
- AI表示は「AIを使ったか」ではなく「本物と勘違いされるか」で決める
- 日本では一律の表示義務は見当たらないが、YouTube・TikTokなどは本物らしいものに表示を求めている
- 表示は免罪符ではない。商品そのもの・効果・お客様の声をAIで作るのはやめる
- 書くなら画像のすぐ近くに、何がAIなのかを具体的に
- 規制の厳しい業種や海外向けは、必ず公式窓口か専門家に確認を
AI画像の権利の問題は「AIで作った画像をチラシやホームページに使っていいか」、文章の権利は「AIに書かせた文章は誰のものか」に、商品写真の手直しの範囲は「商品写真の背景や写り込みをAIで消す」にまとめています。