チラシや案内文をAIに書かせる。AIが勝手に足す「盛り言葉」を消してから使う
チラシやお知らせの文章は、AIに頼めば数分でそれらしい案が出てきます。ただしAIは、頼んでいない「地域No.1」「必ず」「今だけ半額」といった言葉を平気で足します。これをそのまま配ると、広告のルール(景品表示法)に引っかかるおそれがあります。消すべき言葉の判断表、30分でたたき台から完成まで持っていく手順、よくある失敗をまとめました。
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結論から書きます。チラシや案内文のたたき台は、AIに任せて大丈夫です。ただし配る前に、AIが勝手に足した「盛り言葉」を1つずつ消す作業が必ず要ります。
チラシの文章でAIが危ないのは、下手だからではありません。上手に「売れそうな言葉」を足してしまうからです。
AIはなぜ頼んでいないことを書くのか
AIは「チラシっぽい文章」をたくさん学んでいます。チラシっぽい文章には「地域No.1」「満足度98%」「たった1回で実感」といった言葉がよく出てきます。そのため、こちらが事実を渡していない部分を、それらしい言葉で埋めてしまうことがあります。
困るのは、この言葉をチラシに載せた瞬間、責任を負うのはAIではなく配ったお店側だという点です。
お店の広告には「景品表示法」という法律があります。ざっくり言うと、実際より良く見せる表示(品質や効果を盛る)と、実際よりお得に見せる表示(値段や条件を盛る)を禁止する法律です。さらに、消費者庁から「その表示の根拠を出してください」と求められたとき、きちんとした資料を出せなければ、それだけで違反とみなされる仕組みもあります(消費者庁の公式サイトで説明されています)。
つまり「なんとなく良さそうだから載せた」は通りません。根拠を出せない言葉は、載せないのが一番安全です。
※法律の細かい判断は、業種や書き方で変わります。迷ったら、必ず消費者庁の窓口や専門家に確認してください。
消すべき言葉・残していい言葉の判断表
AIが出した文章を見るときは、次の表で1つずつ仕分けてください。
| AIがよく足す言葉 | 判断 | 理由と直し方 |
|---|---|---|
| 「地域No.1」「顧客満足度No.1」 | 消す | 自分で調べた根拠がなければ出せない。消費者庁は2024年にNo.1表示の実態調査報告書を出し、根拠の弱いNo.1表示に注意を促している |
| 「満足度98%」「9割が実感」 | 消す | 実際にアンケートを取った数字でなければ作り話。取ったなら「回答数」「時期」も一緒に書く |
| 「必ず」「絶対」「誰でも」「1回で」 | 消す | 効果に個人差があるものを言い切ると盛りすぎになる。「〜を目指します」「〜の方が多いです」程度に |
| 「通常価格8,000円→今だけ4,000円」 | 確認してから | 比べる元の値段で、実際に一定期間売っていたかが問われる(下で説明) |
| 「期間限定」「先着10名様」 | 確認してから | 本当に期限・人数で締め切るなら残してよい。締め切らないなら消す |
| 「駅から徒歩3分」「駐車場あり」 | 自分で確かめて残す | AIが住所から推測した数字は間違っていることがある。自分で測る |
| 「丁寧な対応を心がけています」「お気軽にどうぞ」 | 残してよい | 事実の主張ではなく姿勢の話なので問題になりにくい |
特に気をつけたいのが値下げの見せ方です。消費者庁の価格表示ガイドラインでは、「通常価格」として比べる元の値段は、原則としてセール開始前の8週間のうち半分以上の期間、その値段で売っていたことが目安とされています(期間の数え方には細かい条件があります)。AIは値段の履歴を知らないので、「通常価格」を勝手に作ってしまうことがあります。比べる値段は、必ず自分の帳簿で確かめてください。
30分でたたき台から完成まで持っていく手順
- 事実だけを箇条書きにする(10分) 日時、場所、値段(税込みかどうか)、対象になる人、申し込み方法、締め切り。AIに書かせる前に、載せていい事実を自分で決めるのがこの作業のすべてです。
- AIに「書いていない事実は足さない」と頼む(3分) 例:「以下の事実だけを使って、A4チラシの文章を3案ください。ここに書いていない数字・順位・効果・値引きは一切足さないでください。読む人は近所の60代の方です」
- 3案から1つ選び、表で仕分ける(10分) 上の判断表を横に置いて、数字・順位・言い切り・値段の4か所に印をつけます。**AIに「足さないで」と頼んでも、足してくることはあります。**頼んだから安心、ではありません。
- 自分の言葉を1つ入れる(5分) AIの文章は整っていますが、どのお店でも言えることになりがちです。「なぜこれを始めたか」「実際にお客様から言われたこと」を1文だけ自分で書くと、ぐっとそのお店らしくなります。
- 印刷前に、声に出して読む(2分) 読みにくい所、言い切りすぎている所は、声に出すとすぐ分かります。
手作業でゼロから書くと1〜2時間かかる案内文が、この手順なら30分ほどで形になります。浮いた時間を「事実の確認」に回すのが正しい使い方です。
よくある失敗と回避策
失敗1:店名と業種だけ伝えて「チラシ作って」と頼む 事実を渡していないので、AIは空白をすべて想像で埋めます。盛り言葉だらけの文章が返ってきて、直すほうが時間がかかります。→ 手順1の箇条書きを先に作る。
失敗2:「お客様の声」をAIに作らせる 「〇〇様(40代・女性):とても良かったです!」のような声を、AIは頼めばいくらでも作ります。実在しないお客様の声を載せるのは、作り話の広告そのものです。→ 本当にいただいた声を、ご本人の了解を取って載せる。無ければ載せない。
失敗3:画像つきのチラシを丸ごと画像AIに作らせる 最近は文字入りのチラシ画像まで作れますが、文字化けや、よく似たロゴ・キャラクターが紛れ込むことがあります。→ 文章はこの記事の手順で作り、画像の注意点は別の記事(下にリンク)を確認する。
失敗4:前回のチラシを貼って「今月版にして」と頼む 日付や値段を古いまま残したり、逆に勝手に変えたりします。→ 変える所を「日付:10月5日→11月2日」のように全部指定する。
向かない人・向かない場面
- 治療院・クリニック・美容・健康食品・化粧品などを扱う人:景品表示法とは別に、医療法・薬機法など業種ごとの法律で、使える言葉がさらに厳しく決まっています。AIはこの業種別の決まりを正確には知りません。業界団体や保健所などの窓口に確認してから使ってください
- 懸賞・抽選・プレゼント企画のチラシ:景品の金額には上限の決まりがあります。AIの文章をそのまま使わず、公式の説明を確認してください
- お店の「看板メニュー」を初めて言葉にする場面:何を一番伝えたいかがまだ決まっていないなら、先にAIを「壁打ち」相手にするやり方で考えを固めるほうが近道です
まとめ
- チラシの文章はAIに任せてよいが、AIは頼んでいない「盛り言葉」を足す
- 広告の責任は配ったお店側。根拠を出せない言葉は載せない
- No.1・満足度○%・必ず・通常価格からの値引きは、特に確認が必要
- 「書いていない事実は足さない」と頼み、事実の箇条書きを先に作る
- お客様の声をAIに作らせない。業種によってはさらに厳しい決まりがある
チラシにAI画像を使うときの注意はAIで作った画像をチラシやホームページに使っていいかに、AIが事実と違うことを書く理由はAIが平気で嘘をつく理由と、嘘を見抜く3つの方法にまとめています。