AIに毎回同じ説明をするのをやめる。「カスタム指示」に書くこと・書いてはいけないこと
「私は個人で〇〇業をしていて…」と毎回打ち込んでいるなら、AIの設定にある「カスタム指示」に一度書いておけば済みます。ただしここに書いた内容は、仕事と関係ない質問も含めてすべての会話に効きます。全体の指示・プロジェクト・メモリのどこに何を置くかの判断表、15分で設定する手順、書いてはいけないもの、よくある失敗をまとめました。
この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。リンク経由で購入・申込みがあった場合、当店に紹介料が入ることがあります。紹介料の有無で評価は変えていません。
結論から言うと、AIに毎回している自己紹介は、設定画面の**「カスタム指示」に5行だけ書いておけば、打ち直す必要がなくなります**。ただし、ここにはお客様の情報と、特定の仕事だけの決まりごとは書いてはいけません。
この記事を読み終わると、自分の事業の前提を「全体の指示」「プロジェクト」「メモリ」のどこに置くか、そして何を書かずにおくかを決められるようになります。
なお、この記事の機能の説明は、各社の公式ヘルプ(2026年10月時点)を整理したものです。画面の名前や場所はよく変わるので、見当たらないときは公式ヘルプを確認してください。
カスタム指示とは何か
カスタム指示は、**「これから始まるすべての会話の冒頭に、自動で貼り付けられるメモ」**だと考えてください。
AIに仕事を頼むとき、多くの人が毎回こう書いています。
- 「私は個人で〇〇業をしています」
- 「お客様は60代以上が中心です」
- 「ていねいだけど堅すぎない文章でお願いします」
1回あたり30秒ほどでも、1日10回頼めば5分、1か月で2時間を超えます。面倒になって省くと、今度は答えがズレます。カスタム指示は、この打ち直しをなくす仕組みです。
主なAIでの呼び名と場所は次のとおりです。
- ChatGPT:パソコンでは「設定」→「パーソナライズ」。スマホアプリでは「設定」→「ChatGPTをカスタマイズ」。公式ヘルプによれば、無料版を含むすべてのプランで使えます。書ける量は無料版で1,500文字まで、有料版(Plusなど)で5,000文字までです
- Claude:画面左下の自分の名前→「設定」→「Claudeの指示」。ここに書いた内容はすべての会話に適用されます
- Gemini:同じ趣旨の機能があります。ただし公式ヘルプには、個人のGoogleアカウントが必要なこと、一部の利用者から順に提供していることが書かれています。自分の画面に出ていなければ、まだ使えない状態です
置き場所は3つある。どこに何を置くかの判断表
「AIに覚えさせる」方法は、実は3種類あります。ここを混ぜると失敗します。
- 全体の指示(カスタム指示):すべての会話に効く。自分で書く
- プロジェクトの指示:仕事ごとの「部屋」を作り、その部屋の中の会話にだけ効く。自分で書く。Claudeでは無料でも5つまで作れると公式ヘルプにあります。ChatGPTにも同じ名前の機能があります(使える範囲はプランで違うため、公式で確認を)
- メモリ:会話の中からAIが自動で拾って覚える。自分では書かない
判断の基準は**「仕事と関係ない質問をしたときにも、効いてほしいか」**です。
| 覚えさせたいこと | 置き場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 業種、ひとりでやっていること | 全体の指示 | どの相談でも前提になる |
| お客様の層(年代・地域の広さなど) | 全体の指示 | 文章の言葉づかいに毎回関わる |
| 答え方の好み(結論から、専門用語は言い換える) | 全体の指示 | どんな質問でも同じでいい |
| チラシの決まり(屋号の書き方、載せる連絡先、使わない言葉) | プロジェクト | チラシ以外の会話では邪魔になる |
| メールの署名や、いつもの書き出し | プロジェクト | メール以外で出てくると困る |
| よく使う資料(料金表、過去の案内文) | プロジェクト | ファイルを置けるのはプロジェクト側 |
| 最近の出来事、進行中の案件 | 書かない(その場で伝える) | すぐ古くなり、直し忘れる |
| お客様の名前・連絡先・事情 | どこにも書かない | 次の章で説明します |
迷ったら、全体の指示は少なく、細かい決まりはプロジェクトへ。これだけ覚えておけば大きくは外しません。
書いてはいけないもの
全体の指示は、すべての会話に毎回ついて回ります。だから、次のものは書かないでください。
- お客様の名前、連絡先、健康や家庭の事情:「よく来る〇〇さんは…」のような書き方も同じです
- 取引先の名前と契約の中身
- パスワード、口座番号、暗証番号
- 自分の自宅住所や家族の情報(事業に必要な範囲を超えるもの)
理由は2つあります。
ひとつは、AIの学習に使われることがあるからです。ChatGPTの公式ヘルプには、カスタム指示の内容もAIの性能を良くするために使われる、とはっきり書かれています(設定で止めることはできます)。
もうひとつは、思わぬ所に顔を出すからです。全体の指示に書いたことは、関係のない相談の答えにも混ざることがあります。その画面を人に見せたり、答えをそのまま貼り付けて送ったりすると、書いた覚えのない情報が外に出ます。
何を入れてよくて何がダメかの基本は、AIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。
15分で設定する手順
直近の会話を3つ開き、毎回打っている前置きを抜き出す(3分) 3回とも書いていることだけが、全体の指示の候補です。1回しか書いていないことは入れません。
次の5行にまとめる(5分)
・仕事:個人で〇〇業をしている。従業員はいない ・お客様:〇〇代が中心の個人のお客様 ・文章:ていねいだが堅すぎない。専門用語は言い換える ・答え方:結論を先に。長くなるときは箇条書きで ・やらないこと:分からないことは「分からない」と言う。数字や制度を推測で書かない仕事と関係ない質問でも困らないよう、最後に「仕事と関係ない質問には、この前提を無理に当てはめない」と1行足しておくと安心です。
設定画面に貼り付けて保存する(2分) 場所は最初の章のとおりです。
新しい会話を2つ開いて試す(5分) 1つは仕事の頼みごと(例:「休業のお知らせ文を書いて」)。前置きなしで、ちょうどいい文章が出るかを見ます。 もう1つは仕事と関係ない質問(例:「カレーの隠し味は?」)。答えに事業の話が混ざってきたら、書きすぎです。行を減らします。
メモリの中身を一度見ておく ChatGPTなら「設定」→「パーソナライズ」→「メモリ」で、AIが自動で覚えたことを確認できます。身に覚えのないことや、お客様に関することが入っていたら消します。
よくある失敗と回避策
失敗1:全部を全体の指示に詰め込む チラシの決まりもメールの署名も全部書いた結果、献立の相談にまで屋号入りのていねいな文章が返ってくる。細かい決まりはプロジェクトに移してください。全体の指示は10行以内が目安です。
失敗2:書いたまま半年放置する 料金を変えた、対象のお客様を広げた。それでも指示が古いままだと、AIは古い前提で自信たっぷりに書きます。月初や請求書を出す日など、決まった日に1分だけ読み返すと決めておきます。
失敗3:メモリを消したつもりで消えていない ChatGPTの公式ヘルプによれば、会話を削除しても、そこから作られたメモリは自動では消えません。うっかりお客様の情報を書いてしまったときは、会話とメモリの両方を消す必要があります。覚えさせたくない相談は、メモリが作られない「一時チャット」を使うのが確実です。
失敗4:設定したから、もう説明は要らないと思い込む カスタム指示が伝えるのは「自分が誰か」だけです。「今回何を作りたいか」「誰に出すのか」は、毎回伝える必要があります。頼み方そのものはAIに仕事を頼むときの伝え方を参考にしてください。
失敗5:家族やパートさんと同じアカウントで使う 全体の指示もメモリも、アカウントにひもづきます。共用すると、相手の相談に自分の前提が混ざり、相手の会話から覚えたことが自分の答えに出てきます。人に使わせるときの決め方はパートや家族にAIを使わせるときのルールにまとめています。
向かない人・向かない場面
- AIを使うのが月に数回の人:前置きを打つ手間のほうが小さいので、設定しなくて構いません
- まったく違う仕事を2つ以上している人:全体の指示には共通する部分(答え方の好み)だけを書き、仕事ごとの前提はプロジェクトに分けてください
- 1つのアカウントを仕事と家庭で半々に使っている人:全体の指示は「答え方の好み」だけにとどめるのが無難です
- お客様の情報を扱う相談が中心の人:覚えさせる工夫より先に、情報を伏せる手順を決めるほうが大事です
まとめ
- カスタム指示は「すべての会話の冒頭に自動で貼られるメモ」。毎回の自己紹介はここに5行で書く
- 置き場所は3つ。どの会話でも効いてほしいことは全体の指示、仕事ごとの決まりはプロジェクト、メモリは自動なので中身を時々見る
- お客様の情報、取引先との契約の中身、パスワードはどこにも書かない
- 設定したら、仕事と関係ない質問でも試す。事業の話が混ざるなら書きすぎ
- 決まった日に1分だけ読み返し、古くなった行を直す