お客様アンケートの集計をAIに任せる。数えるのは表計算、読むのはAIという分け方

アンケートの集計でAIが役に立つのは「自由記述を読んで仕分ける」ところです。件数を数えるのは苦手なので任せてはいけません。回答20〜100件くらいの小さなアンケートを、30分で片づける手順と失敗例をまとめました。

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結論から言うと、アンケートの集計は**「数えるのは表計算ソフト、自由記述を読んで仕分けるのはAI」**と分けるのが正解です。AIに「集計して」と丸ごと頼むと、件数や割合がもっともらしく間違って出てきます。

この記事では、お客様アンケートや講座の感想など、回答が20〜100件くらいの小さなアンケートを想定して、どこまでAIに任せていいかを決められるようにします。

AIは「数える」のが苦手

意外かもしれませんが、AIは数を数えるのが得意ではありません。文章を読んで「次に来そうな言葉」をつなげる仕組みなので、「満足が42件」のような数字も、実際に数えた結果ではなくそれらしい数字が出てくることがあります。

特に起きやすいのは次の3つです。

  1. 件数が合わない。合計すると回答数より多い、または少ない
  2. 分類名がぶれる。前半では「価格」、後半では「料金」と別の分類にして、同じ意見を2つに分けて数える
  3. 少数の厳しい意見が消える。「全体としては好評でした」とまとめる途中で、1件だけの深刻な不満が落ちる

3つ目がいちばん怖いところです。ひとり事業主にとって一番大事なのは、多数派の「よかった」より、**1件の「予約の電話がつながらなかった」**だったりします。

作業ごとの分担表

作業 誰がやるか 理由
選択式の件数・割合を出す 表計算(Googleフォームの集計画面、Excelなど) 数え間違いがゼロ。AIに頼む意味がない
自由記述を読んで分類をつける AI 一番時間がかかる作業で、AIの得意分野
分類ごとの件数を数える 表計算 AIがつけた分類を表に戻してから数える
厳しい意見・要対応の意見を拾う AI+自分 AIに抜き出させ、最後は自分で全件に目を通す
結果の読み取り・次の打ち手 自分 現場の事情はAIには分からない
お客様や取引先への報告文 AIで下書き→自分で数字を確認 文章化の途中で数字がずれることがある

選択式の質問なら、Googleフォームは回答を集めた時点で集計画面にグラフと件数が出ます。ここにAIを挟む必要はありません。AIの出番は自由記述だけと考えると、すっきりします。

30分で片づける手順

回答50件の自由記述を例にします。慣れれば30分前後で終わります。手で全部読んで仕分けると、50件でも1時間半〜2時間はかかる作業です。

1. 名前や連絡先の列を消す(3分)

表計算ソフトで回答を開き、名前・電話番号・メールアドレス・住所の列を削除したコピーを作ります。AIに渡すのはこのコピーだけです。代わりに「回答1」「回答2」のような通し番号の列を残しておくと、あとで元の表と照らし合わせられます。

自由記述の中に「○○さんの対応が」と名前が書かれていることもあるので、ざっと見て消しておきます。何を入れてはいけないかはAIに入れていい情報・ダメな情報に整理しています。

2. 最初の20件で分類を決める(10分)

いきなり全件を渡さず、最初の20件だけ貼って、こう頼みます。

以下はお店のアンケートの自由記述です。内容を5〜7個の分類に分けたいので、分類名と、それぞれの「どんな意見が入るか」の説明を提案してください。まだ件数は数えなくていいです。

出てきた分類を見て、自分の仕事に合わせて直します。「接客」と「説明のわかりやすさ」を分けたいなら分ける。ここで分類名と説明を確定させるのが一番大事な一手です。

3. 全件に分類をつけさせる(10分)

確定した分類を先に貼ってから、全件を渡します。

次の分類だけを使ってください。新しい分類は作らないでください。当てはまらないものは「その他」にしてください。回答番号・分類・理由(10字以内)の3列の表で返してください。件数の集計はしなくていいです。

「件数は数えなくていい」と明記するのがコツです。数えさせると、そこで間違いが混ざります。

50件を超える場合は、25件ずつくらいに分けて渡すと、途中で抜けや取り違えが起きにくくなります。

4. 表に戻して数える(5分)

AIが返した表を表計算ソフトに貼り、分類ごとの件数を数えます。Excelなら「COUNTIF」(条件に合うセルを数える機能)、Googleスプレッドシートでも同じ名前の機能があります。関数が苦手なら、並べ替えて目で数えても50件なら数分です。

ここで合計が回答数と一致するかを必ず確かめてください。合わなければ、AIが回答を飛ばしたか、1件を2回数えています。

5. 厳しい意見だけ別に出させる(数分+目視)

最後に、同じ回答を渡して頼みます。

この中から、不満・苦情・改善要望にあたるものを、件数が少なくても全部そのまま抜き出してください。要約しないでください。

「要約しない」「少なくても全部」がポイントです。そのうえで、自由記述は最後に自分で1回、全件に目を通してください。50件なら5分で読めます。AIの仕分けは「読む順番を整えてくれるもの」で、読まなくて済むものではありません。

よくある失敗と回避策

失敗1:「集計して、グラフにして、考察も書いて」と一度に頼む 数字の間違いがどこで起きたか分からなくなります。分類→数える→考察を、別々の手順に分けてください。

失敗2:AIの出した割合をそのまま報告書に載せる 取引先や施設に出す報告で数字が間違っていると、信用に関わります。報告文はAIに下書きさせても、数字だけは表計算の結果から自分で打ち直すのが安全です。

失敗3:紙のアンケートを写真で読ませて終わりにする 手書きの文字は読み違いが起きます。写真から文字にさせるのは便利ですが、数字の欄(年齢・満足度の点数)は特に、元の紙と数件突き合わせてから使ってください。

失敗4:毎回ちがう分類で集計する 3か月ごとにアンケートを取るなら、2回目以降も1回目に確定した分類をそのまま使うと、「前回より『待ち時間』の不満が増えた」と比べられます。分類はメモ帳に保存しておきましょう。

向かない人・向かない場面

  • 回答が10件以下なら、AIを使うより自分で読んだほうが早いです。準備の手間のほうが大きくなります
  • 健康状態や家族の事情など、踏み込んだ内容を書いてもらうアンケートは、名前を消しても個人が特定されやすいので、AIに渡さないほうが無難です
  • 数字の正確さがそのままお金や評価に関わる集計(補助金の実績報告、取引先への正式な報告など)は、AIを使わず表計算だけで行い、必要なら専門家に確認してください
  • 自由記述がない、選択式だけのアンケートは、この記事の手順は不要です。フォームの集計画面で足ります

まとめ

  • アンケート集計でAIが効くのは「自由記述を読んで仕分ける」部分だけ
  • 件数・割合は表計算で出す。AIには「数えなくていい」と明記する
  • 最初の20件で分類を決めて固定し、それから全件を渡す
  • 厳しい意見は「要約しないで全部」抜き出させ、最後は自分で全件読む
  • 名前や連絡先の列は、AIに渡す前に消す

AIに頼むときの伝え方の基本はAIに仕事を頼むときの伝え方。これだけ覚えれば十分な5つの型に、AIが数字や事実をもっともらしく間違える理由はAIが平気で嘘をつく理由と、嘘を見抜く3つの方法にまとめています。

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