補助金・助成金をAIに探させる。AIは「もう終わった公募」と「自分が対象外の制度」を平気で出すので、確かめる手順を決めておく

「自分が使える補助金を教えて」とAIに聞くと、数秒で5個も10個も出てきます。ただしその中には、受付が終わった回、名前が似た別の制度、従業員がいないと使えない助成金が混ざります。AIに任せていい工程と公式サイトで確かめる工程の分担表、補助金と助成金の見分け方、30分で候補を3つに絞る手順、よくある失敗をまとめました。

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結論から言うと、AIに任せていいのは「自分の事業に合いそうな制度の名前と、探す場所を出させる」ところまでです。締切・対象者・補助率は、AIの答えをそのまま信じず、必ず公式サイトで確かめます。この分担を守れば、補助金探しはAIを使うほうが確実に速くなります。

なぜ分担が要るかというと、AIの答えには3種類の「それらしい間違い」が混ざるからです。受付がもう終わった回、名前が似ているだけの別の制度、そして従業員がいないと申請できない助成金です。どれも制度自体は実在するので、嘘だと気づきにくいのが厄介なところです。

「ChatGPT 補助金」で検索して出てくる記事は、「AIツールの購入に補助金が使えるか」か、「補助金探しを代行するAIサービス」の話が中心で、ひとり事業主が自分のAIチャットで探すときの確かめ方は、ほとんど書かれていません。この記事では、AIの答えを「候補」として受け取り、30分で3つに絞って公式確認まで終える手順を書きます。なお、補助金の制度や要件はよく変わります。この記事は探し方の話で、個々の制度の中身は必ず公式窓口か、商工会・商工会議所、専門家に確認してください。

AIの答えに混ざる3種類の「それらしい間違い」

AIチャットは、制度の名前と概要を大量に覚えています。だから「飲食店 個人事業主 使える補助金」と聞けば、持続化補助金、業務改善助成金、IT導入補助金、自治体の制度……と、もっともらしい一覧がすぐ出ます。ここまでは便利です。問題はその先です。

1. 受付がもう終わった回を出す 国の補助金の多くは「第〇回公募」という形で、受付期間が区切られています。回が変わると締切だけでなく、要件や補助率も変わることがあります。AIが覚えているのは過去のどこかの時点の情報なので、「いま受け付けている回」とは限りません。検索機能つきのAIでも、検索で引っかかるのが解説サイトの古い記事だと、同じことが起きます。

2. 名前が似た別の制度を混ぜる 「〇〇補助金」と「〇〇助成金」、国の制度と都道府県の同名制度、昨年度で終わった制度と後継の制度。AIはこれらを混ぜて、片方の補助率ともう片方の対象者をつなげた「存在しない制度」を作ることがあります。AIが平気で嘘をつく理由に書いたとおり、これは故障ではなく仕組み上の性質です。

3. 自分が対象外の制度を出す これがひとり事業主にいちばん効きます。厚生労働省の雇用関係の助成金は、公式の共通要件で「雇用保険の被保険者を1人以上雇っている事業主」が前提になっています。つまり従業員を雇っていないひとり事業主は、ほとんどの雇用関係助成金の対象外です。ところがAIに「個人事業主 助成金」と聞くと、この種の助成金が普通に出てきます。嘘ではありませんが、あなたには使えません。

補助金と助成金は別物。先にここを見分ける

公的な案内サイト「ミラサポplus」(中小企業庁)の説明を整理すると、2つはこう違います。

補助金 助成金
もらえる条件 申請して審査で採択される必要がある 要件を満たせば基本的に受けられる
担当が多い役所 経済産業省系 厚生労働省系
お金の出どころ 税金 雇用保険料が多い
ひとり事業主との相性 対象になる制度が多い(小規模事業者向けなど) 従業員を雇っていないと対象外のものが大半
共通点 どちらも返済不要。ただし後払いで、先に自分で支払う

AIに聞くときは、最初に「私は従業員を雇っていない個人事業主です。雇用保険の加入が要件の制度は除いてください」と伝えます。これだけで、使えない助成金が候補から減ります。雇っている人がいるなら、逆に助成金も候補に入ります。

もう1つ、「後払い」は見落とされがちです。採択されても、お金が入るのは事業を終えて報告したあとです。先に自分で払える金額かどうかは、AIではなく自分の通帳で判断します。

AIに任せる工程・公式サイトで確かめる工程の分担表

工程 任せる相手 理由
自分の事業で「何にお金を使いたいか」を言葉にする AIと一緒に 「ホームページを作りたい」「機械を買いたい」「販路を広げたい」のどれかで、探す制度が変わる
合いそうな制度の名前を挙げる AI ここはAIが速い。ただし全部「候補」として受け取る
制度ごとに「どこで公式情報を見られるか」を出させる AI 公式サイトの名前と、担当の役所・窓口を聞く
いま受け付けているか(公募回・締切) 公式サイト AIの知識は古い可能性がある
自分が対象か(業種・従業員数・開業からの年数) 公式サイトの公募要領 AIは要件を丸めて説明する。1行の除外規定で対象外になることがある
補助率・上限額・対象になる経費 公式サイトの公募要領 回ごとに変わる。AIは別の回の数字を出すことがある
公募要領の長い文書から「自分に関係ある所」を抜き出す AI(公式PDFを渡して) 読み方は長いPDFをAIに読ませて要点を出すと同じ。ページ番号つきで出させて原文で確かめる
申請書を書く 自分(AIは質問役) 補助金の申請書をAIで作っていいかに書いたとおり、丸投げは不採択の原因になる

分かれ目は「その情報が古いと損をするか」です。制度の名前が古くても困りませんが、締切と対象者が古いと、準備が全部むだになります。

30分で候補を3つに絞る手順

  1. 使い道を1つ決めてAIに伝える(5分) 「従業員のいない個人事業主で、〇〇業。△△にお金を使いたい。合いそうな国・都道府県・市区町村の制度の名前を挙げて。雇用保険が要件の制度は除いて。それぞれ公式情報がどこにあるかも書いて」。この時点で、金額や締切をAIに聞いても構いませんが、メモに「未確認」と書いておきます
  2. AIが挙げた名前を、公式の検索サイトで引く(10分) 国と都道府県の制度は、中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」の支援情報ヘッドラインで、分野と都道府県を選んで検索できます。ミラサポplusにも国の補助金の一覧と、課題から探す機能があります。AIが出した名前がここに出てこなければ、名前違いか終了した制度を疑います
  3. 市区町村の制度は、自分の市区町村のサイトで引く(5分) 上の2つは国と都道府県が中心です。市区町村の独自制度(店舗改装、ホームページ制作、創業支援など)は、市区町村の公式サイトの「産業・事業者向け」のページか、商工会・商工会議所に聞くのが確実です。AIは市区町村レベルになると、特に古い情報を出しやすくなります
  4. 残った候補の公式ページで、3点だけ確かめる(10分) 「いま受け付けているか」「自分は対象か」「先に払える金額か」。この3つのうち1つでも×なら候補から外します。3つとも○の制度が3つ以下に絞れたら、公募要領のPDFをAIに渡して「個人事業主に関係する要件と除外規定をページ番号つきで」と読ませ、原文で確認します

30分で終わらなければ、たいてい手順1の「使い道」が決まっていません。「何か使える補助金はないか」から入ると、候補が20個出て全部確かめられず、結局どれも申請しないまま終わります。

よくある失敗と回避策

失敗1:AIが出した締切を信じて準備したら、その回はとっくに終わっていた 前の回の情報だった。次の回は数か月先で、要件も少し変わっていた。 → 締切は公式サイトでしか見ない。AIの答えには「未確認」と書いておき、確認した日付と公式ページの場所をメモに残す。

失敗2:「個人事業主も対象」と言われた助成金が、雇用保険の加入が前提だった 従業員がいないので、そもそも申請できなかった。 → 最初に「従業員を雇っていない」と伝え、雇用関係の助成金を除かせる。公式の共通要件は厚生労働省のサイトで確認できる。

失敗3:AIの説明では対象だったのに、公募要領の1行で対象外だった たとえば「開業後〇年以内」「特定の業種は除く」「過去に同じ補助金で採択された人は除く」など。AIは要件を丸めて説明する。 → 対象かどうかは公募要領の原文で見る。AIには公式PDFを渡し、「除外規定」を抜き出させてから原文で確かめる。

失敗4:補助率と上限額を見て喜んだが、後払いで先に払えなかった 採択されたあと、自分で全額を先に払う必要があると知った。 → 候補を絞る段階で「先に払える金額か」を3条件の1つに入れる。

失敗5:「申請代行」のサイトの情報をAIがそのまま引いてきた 検索機能つきのAIが、代行業者の煽り気味の記事(「誰でももらえる」「今すぐ」)を根拠にしていた。 → AIに「公式サイト(go.jp、lg.jp、自治体や商工会議所のサイト)の情報を優先して」と伝える。それでも、最後は自分で公式ページを開く。

向かない人・向かない場面

  • 今月中にお金が必要な人。補助金は申請から入金まで数か月から1年近くかかるのが普通で、しかも後払いです。資金繰りの問題は融資や公的な相談窓口のほうが向いています
  • 使い道が決まっていない人。「何かもらえるものはないか」で探すと、補助金に合わせて不要なものを買うことになります。先に事業の必要があって、それに合う制度を探す順番です
  • 要件の確認を人に任せたい人。AIに任せる話ではなく、商工会・商工会議所や、認定支援機関と呼ばれる専門家に相談するほうが確実です。無料で相談できる窓口も多くあります
  • 医療・介護など、業種ごとに別の制度体系がある仕事。一般的な補助金の探し方より、業界団体や所管の役所の案内を先に見るほうが早いことがあります

まとめ

  • AIに任せるのは「合いそうな制度の名前と、公式情報の場所を出させる」ところまで。締切・対象者・補助率は公式サイトで確かめる
  • AIの答えには「終わった回」「名前が似た別制度」「従業員がいないと使えない助成金」が混ざる。全部「候補」として受け取る
  • 従業員を雇っていないなら、最初にそう伝えて雇用関係の助成金を除かせる
  • 候補は「いま受け付けているか・自分は対象か・先に払えるか」の3つで絞る。1つでも×なら外す
  • 制度の中身は必ず公式窓口・商工会・商工会議所・専門家に確認する。この記事は探し方の話で、個別の制度の説明ではありません

候補が絞れたあとの申請書づくりは補助金の申請書をAIで作っていいかに、公募要領の長いPDFの読ませ方は長いPDFをAIに読ませて要点を出すに、AIがもっともらしい間違いを出す理由と見抜き方はAIが平気で嘘をつく理由にまとめています。

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