お客様が「AIで調べたらこう出た」と言ってきたとき。その場で言い争わず、応じるかどうかは先に決めた線で答える
「AIで見たら定休日だった」「AIでは〇〇円って出ていた」。AI検索がお店の料金や営業時間を間違えて答え、それを信じたお客様が来ることが増えています。その場での返し方、AIの数字に応じるかどうかの判断表、元の情報を直す6手順、よくある失敗をまとめました。
この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。リンク経由で購入・申込みがあった場合、当店に紹介料が入ることがあります。紹介料の有無で評価は変えていません。
結論から書きます。お客様が「AIで調べたらこう出た」と言ってきたら、その場ではAIを否定せず、店の正しい情報を見せて、応じるかどうかは前もって決めた線で答えるのが一番こじれません。そして、同じことが二度起きないように、AIが読みに行く元の情報(ホームページとGoogleの店舗情報)を直します。
この記事を読み終わると、AIの間違いを持ち込まれたときに「その場でどう言うか」「その値段や条件に応じるか」「どこを直せば再発が減るか」を決められるようになります。
何が起きているのか
いまは検索すると、一番上にAIがまとめた答え(Googleなら「AIによる概要」)が出ます。ChatGPTなどに直接「〇〇店の料金は?」と聞く人もいます。AIはお店に問い合わせて答えているわけではなく、ネット上に残っている情報を読み集めて、それらしくまとめているだけです。そのため、次のような間違いが起きます。
- 値上げ前の古い料金を答える(昔のチラシの画像や、予約サイトに残った旧料金を拾う)
- 定休日や営業時間を間違える(臨時休業のお知らせを「いつも休み」と取り違える)
- やっていないサービスや割引を「ある」と答える(名前の似た別のお店と混ざる)
Googleの公式ヘルプにも「AI の回答には間違いが含まれている場合があります」と書かれています。間違いはゼロにはなりません。
海外では実際に、アメリカ・ミズーリ州のピザ店で、Googleの「AIによる概要」が存在しない割引(LサイズがSサイズと同じ値段など)を表示し、それを見たお客様が店員に怒る騒ぎになりました。お店はFacebookで「AIが出した特売には応じられません。店のページで確認してください」と呼びかけています(2025年8月、地元テレビ局の報道)。
ひとりで回しているお店では、こういうやりとりが1回あるだけで15分、20分と時間を取られます。だから、その場で考えずに済むように、答え方を先に決めておくのが大事です。
その場での返し方:3つの順番
言い争いになるのは、お客様の「調べてきた」気持ちを否定したときです。次の順番で話すと落ち着きやすくなります。
- まず受け止める:「調べてきてくださったんですね。ありがとうございます」
- 正しい情報を見せる:店頭の料金表、ホームページ、LINEの案内など「店が出しているもの」を指さす。「AIは古い情報を拾うことがあって、いまの料金はこちらなんです」
- どうするかを伝える:下の判断表で決めた線のとおりに答える
ポイントは、「AIが間違っている」ではなく「AIは古い情報を拾うことがある」と言うことです。お客様のせいにも、AIのせいにもしすぎない言い方のほうが、相手が引きやすくなります。
電話やメールで言われた場合も同じです。メールなら、正しい料金が載っているページのリンクを貼って返すと、言葉で説明するより早く済みます。
AIの数字や条件に応じるかどうかの判断表
| 状況 | おすすめの対応 | 理由 |
|---|---|---|
| 差額が小さく、今回限りで済む(数百円程度・初回のお客様) | 今回だけ応じて、次回からの正しい料金を伝える | 言い争う時間のほうが高くつく。関係も悪くならない |
| 差額が大きい、または続けて同じ条件を求められそう | 応じない。正しい料金を見せて、それでよければ進める | 一度応じると「前はこの値段だった」が続く |
| やっていないサービス・割引を「ある」と言われた | 応じない。できることの中で近いものを案内する | ないものは出せない。無理に合わせると赤字か品質が落ちる |
| 営業時間・定休日の間違いで、来たのに閉まっていた | 謝るのではなく「ご不便をおかけしました」と伝え、正しい情報の場所を案内 | 店のミスではないが、来てくれた手間には礼を言う |
| AIの間違いが、店の古い情報(自分で直し忘れた料金表など)から来ていた | 応じる | 元が自分の出した情報なら、自分の責任として扱うほうが筋が通る |
一番下の行は大事です。AIの答えの出どころをたどると、自分のホームページに残っていた古い料金表だった、ということは珍しくありません。その場合は「AIのせい」ではなく、自分の直し忘れです。
なお、表示した価格と違う値段での取引がどう扱われるかは、状況によって変わります。こじれて法律の話になりそうなときは、自分で判断せず、消費生活センターや弁護士など公式の窓口・専門家に確認してください。
元の情報を直す6手順(初回60分ほど)
その場をしのいでも、AIが同じ答えを出し続ければ、また同じお客様が来ます。AIに「間違っているよ」と言っても直りません。AIが読みに行く元の情報を直すのが正攻法です。
- 自分で聞いてみる(10分):Googleで「店名 料金」「店名 定休日」と検索し、ChatGPTなどにも同じことを聞く。出てきた答えをメモに書き写す
- 正解を1つに決める(5分):いまの料金・営業時間・定休日・やっているサービスを1枚に書き出す。これが全部の基準になる
- ホームページを直す(15分):古い料金表、終わったキャンペーン、昔のお知らせを消すか「終了しました」と書く。料金は画像だけでなく文字でも載せる(AIは画像の中の文字を読み違えやすい)
- Googleの店舗情報を直す(10分):Googleビジネスプロフィールの営業時間・サービス・説明文を、2で決めた正解に合わせる
- ほかのサイトを確認する(15分):予約サイト、口コミサイト、地域の紹介サイトなど、自分の店が載っているところを検索して、古い情報が残っていれば直すか、運営元に修正を頼む
- Googleに報告する(5分):「AIによる概要」に明らかな間違いがあれば、概要の下の低評価アイコンから「問題を報告」を選び、どこが違うかを書いて送る(Google公式ヘルプの手順)
注意点として、直してもAIの答えがすぐ変わるとは限りません。報告しても必ず直るという保証もありません。数週間たってから、1の手順でもう一度聞いて確かめてください。
よくある失敗と回避策
失敗1:その場で「AIなんて当てにならない」と言ってしまう お客様は「調べてきた自分」を否定された気持ちになります。否定するのはAIではなく古い情報、という言い方にしておくと角が立ちません。
失敗2:毎回その場で判断する 同じ質問でも、日によって応じたり断ったりすると「前は応じてくれた」と言われます。上の判断表のように、応じる線を先に決めて紙に書いておくと、家族やパートさんが受けても同じ答えになります。
失敗3:AIに直接「間違いを直して」と頼んで終わる チャットで訂正しても、その会話の中で話を合わせてくれるだけで、ほかの人への答えは変わりません。直すのは元の情報です。
失敗4:「AI対策」の高い月額サービスにすぐ申し込む AIの間違いを直すことをうたうサービスは増えていますが、小さなお店がまずやるべきことは上の6手順でほぼ足ります。申し込む前に、自分で1時間やってみてください。売り込みへの答え方は「AIの講座や「導入支援」の売り込みにどう答えるか」にまとめています。
失敗5:臨時休業のお知らせを出しっぱなしにする 「〇日は休みます」のお知らせが古いまま残ると、AIが「〇曜日は定休日」と取り違えることがあります。臨時の情報は、終わったら消すか「終了」と書きます。
向かない人・この記事が当てはまらない場面
- ネットにお店の情報をほとんど出していない人:AIが答えに使う材料が少ないぶん、間違いが出ることは少なめです。ただし、名前の似た別のお店と混ざることはあるので、一度は自分の店名で検索してみてください
- 料金がお客様ごとにまったく違う仕事(見積もりで決める仕事など):AIの数字が出ても「お見積もりで決まります」と答えれば済みます。料金表の代わりに「料金の決まり方」をホームページに書いておくと伝わりやすくなります
- お客様の怒りが強く、言葉が荒い場合:これはAIの問題ではなく、クレーム対応として扱ってください。「クレームが来たとき、返信文はAIに書かせない」も参考になります
まとめ
- AIはお店に確認せず、ネット上の情報を集めて答えている。古い料金や似た店の情報が混ざる
- その場では否定せず「AIは古い情報を拾うことがある」と言い、店の正しい情報を見せる
- 応じるかどうかは、判断表のように先に線を決めておく。元が自分の古い情報なら応じる
- 再発を減らすには、ホームページ・Googleの店舗情報・ほかのサイトの順に元の情報を直す
- 直してもすぐには反映されない。数週間後にもう一度自分で聞いて確かめる
Googleの店舗情報をきちんと整えておくことは、AI対策だけでなく、年末年始の営業案内などにも効いてきます。「年末年始の休業案内をAIで作る」もあわせてどうぞ。