入金が遅れているお客様への催促メールをAIに書かせる。送る前に「自分の側の確認」を5分、AIが勝手に足す脅し文句と謝罪を消す

支払期日を過ぎても入金がないとき、催促メールの文面づくりはAIに任せて構いません。ただしAIは、1回目から「法的措置」を匂わせたり、逆に謝りすぎて期日を書き忘れたりします。催促の前に自分の側で確かめる5項目、何回目の催促をどの強さで出すかの段階表、AIへの頼み方、よくある失敗と、外に相談するタイミングをまとめました。

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結論から書きます。催促メールの文面はAIに任せてかまいません。ただし送る前に、①自分の側に間違いがないかを5分確かめ、②AIが勝手に足す「脅し文句」「謝りすぎ」「あいまいな期日」を消してください。

催促で一番まずいのは、こちらの確認漏れなのに強い文面を送ってしまうことです。お金の話は一度こじれると、入金されても関係が元に戻りません。

なぜ催促メールは書きにくいのか

ひとりで事業をしていると、催促の相手は「次もお願いしたいお客様」であることがほとんどです。強く書けば関係が壊れそうで、弱く書けば無視されそう。この迷いで1日、2日と送るのが遅れ、そのうち相手も忘れてしまいます。

AIの出番はここです。気まずい文章を「たたき台」として数十秒で出してくれるので、迷っている時間がなくなります。 一方で、AIは催促の「段階」や「こちらの事情」を知りません。何も言わずに頼むと、次のような文章が出てきがちです。

  • 1回目なのに「しかるべき措置を検討せざるを得ません」と書く
  • 「大変恐縮ですが」「誠に申し訳ございませんが」を何度も重ね、肝心の期日が「お早めに」になっている
  • 契約書に書いていない「遅延損害金(遅れたぶんの利息)」を請求する文を足す
  • 「ご多忙のところ」程度ならよいが、「資金繰りがお苦しいとは存じますが」など、相手の事情を勝手に推測して書く

どれも、そのまま送ると相手を怒らせるか、逆に何も伝わりません。

催促の前に、自分の側を5分確かめる

催促メールを書く前に、次の5つを確認します。「払われていない」と思った件が、実はこちらの見落としだった、ということは珍しくありません。

  1. 振込名義を見直す:会社名ではなく代表者の個人名、または親会社・経理代行会社の名前で振り込まれていないか。通帳や入金明細を「金額」で探し直す
  2. 金額の差を見直す:振込手数料を差し引いた金額で振り込まれていないか。数百円少ない入金を見落としていないか
  3. まとめ払いを見直す:2か月分がまとめて1回で入っていないか
  4. 請求書が届いているか:送ったメールが迷惑メールに入っていないか、宛先の担当者が異動していないか。送信済みフォルダで宛先を確認する
  5. 期日の約束が残っているか:支払期日は請求書・見積書・メールのどこかに書いてあるか。口約束だけなら、まず「期日の確認」から始める

5つとも問題なければ、催促してよい状態です。逆にどれか1つでも怪しければ、催促ではなく「確認のお願い」として送ります。

何回目の催促を、どの強さで出すか

催促は1回で終わらないこともあります。最初に段階を決めておくと、毎回迷わずに済みます。

段階 送る時期の目安 言い方 AIに任せる範囲
期日前のお知らせ 期日の3日前ごろ(任意) 「お支払い期日のご案内」。催促ではない 全部任せてよい
1回目 期日の翌営業日〜3日以内 「行き違いでしたらご容赦ください」と添えた確認。新しい期日を1つ書く 文面は任せる。金額・期日は自分で入れる
2回目 1回目の新しい期日を過ぎた翌日 丁寧だが、お願いではなく「〇日までにお振込みください」と言い切る。電話でも一度連絡する たたき台まで。強さは自分で調整
最後の連絡 2回目から1〜2週間 「この日までにご入金がない場合は、〇〇を検討します」と次の手を1つだけ書く 下書きの参考程度。送る前に専門家へ相談
外に相談 最後の連絡にも反応がない 自分で文面を強めない 任せない

時期はあくまで目安です。取引先との関係や金額で変えてかまいません。大事なのは、1回目から脅さないことと、2回目以降は「いつまでに」を言い切ることの2点です。

個人のお客様(一般の方)が相手の場合は、メールより先に電話や対面で一言伝えたほうが早く片づくことが多いです。メールはその後の「確認の記録」として送ります。

AIへの頼み方(コピーして使える形)

頼むときは、次の4つを必ず書きます。名前や金額はAIには伏せて、あとから自分で書き入れます。

  1. 段階:「1回目の催促です」「2回目です」
  2. 関係:「今後も取引を続けたい相手です」「個人のお客様です」
  3. 入れてほしいこと:何の請求か(〇月分の〇〇作業)、新しい期日を書く欄
  4. 入れてほしくないこと:法的措置・遅延損害金・相手の事情の推測・謝罪の重ね言葉

実際の頼み方の例です。

取引先への入金催促メールの下書きを作ってください。1回目の催促です。今後も取引を続けたい相手なので、責める調子にはしないでください。「行き違いでしたらご容赦ください」の一言を入れてください。請求の中身は「〇月分の〇〇作業」、金額は【金額】、元の期日は【元の期日】、新しい期日は【新しい期日】と書いておいてください。法的措置、遅延損害金、相手の事情の推測は書かないでください。謝罪の言葉は1回までにしてください。全体で200字程度にしてください。

【 】の部分は送る直前に自分で埋めます。取引先名・金額・口座番号をAIに入れない理由はAIに入れていい情報・ダメな情報にまとめています。

送る前に、目で追う3か所

出てきた文面は、次の3か所だけ確認します。1通1〜2分で終わります。

  • 金額:請求書の金額と1円単位で一致しているか(税込か税抜かも)
  • 期日:「お早めに」「至急」ではなく、日付が1つ書いてあるか
  • 言い過ぎ:段階に合わない強い言葉(「措置」「法的」「損害」)が入っていないか

よくある失敗と回避策

失敗1:こちらの見落としだったのに催促してしまった 振込名義が違うだけだった、というのが一番多い失敗です。上の5分確認を飛ばさないこと。送ってしまったら、すぐに「こちらの確認不足でした」と短く謝れば、たいていは大ごとになりません。

失敗2:毎回まったく同じ文面を送り続けた 同じ文面の2通目は、相手から見ると「自動送信」にしか見えません。2回目は言い切る文に変え、電話も1本入れます。

失敗3:AIが足した「遅延損害金」をそのまま送った 契約書や請求書に取り決めがないのに書くと、相手に「根拠は?」と返され、話がこじれます。取り決めがない限り、書かせないでください。

失敗4:感情のまま「最後の連絡」を送った 「この日までに払わなければ〇〇します」と書いたら、その〇〇を本当にやる覚悟が必要です。やらない手を書くと、次からこちらの言葉が軽くなります。書く前に、次の手が現実的かを確かめてください。

失敗5:催促の記録を残していなかった いつ・何を・どの手段で伝えたかは、外に相談するときに必ず聞かれます。メールは送信済みフォルダに残りますが、電話は日時と話した内容を1行メモしておきます。

向かない人・向かない場面

  • 相手と揉めている最中:納品物の出来や金額そのものに相手が不満を言っている場合は、催促ではなく話し合いの問題です。AIの文面で押し切ろうとしないでください
  • 金額が大きい、または相手と連絡が取れない:自分でメールを重ねるより、早めに外に相談したほうが結果的に早く済みます
  • AIの文章を整える時間がとれない人:1回目だけはテンプレートを1つ作っておき、日付と金額を差し替えて使うほうが速いこともあります。定型文の作り方は請求書・報告書をAIで作るが参考になります

外に相談するタイミング

最後の連絡にも反応がない場合は、文面を強めるのではなく、外の窓口を使います。ここから先は法律の話になるので、必ず公式の窓口か専門家に確認してください。

  • 従業員のいないフリーランスで、相手が事業者の場合:2024年11月に始まったフリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)で、発注した事業者は「受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内」に支払期日を決めて払うことになっています。弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」があると公正取引委員会の特設サイトで案内されています(2026年10月確認)
  • 60万円以下のお金の支払いを求める場合:裁判所の「少額訴訟」という、原則1回の審理で終わる手続きがあります。使えるかどうか、準備するものは裁判所の案内や窓口で確認してください

どちらも「こういう道がある」と知っておくだけで、催促の文面で無理に強がる必要がなくなります。

まとめ

  • 催促メールの文面はAIに任せてよい。迷って送るのが遅れるほうが損
  • 送る前に、振込名義・金額の差・まとめ払い・請求書の到着・期日の約束の5つを自分で確かめる
  • 1回目は「確認」、2回目は「期日を言い切る」、最後は「次の手を1つ」。1回目から脅さない
  • AIには段階・関係・入れること・入れないことの4つを伝え、名前と金額は自分で入れる
  • 反応がなければ文面を強めず、公式の窓口や専門家に相談する

メール全般をAIに下書きさせるときの手順はメールの下書きをAIに任せるにまとめています。あわせて読んでみてください。

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