お店のショート動画をAIで編集する。任せるのは「字幕」と「間のカット」だけ。アプリを入れる前に規約の1行を読む

リールやショート動画を始めたいけれど、編集に時間がかかって続かない。そんな人向けに、AIに任せていい作業と自分でやる作業を分けました。自動字幕は無料の公式機能で足りることが多く、むしろ注意すべきは、AI編集アプリに預けた動画の扱いと、字幕の固有名詞の間違いです。作業ごとの判断表、1本15分で仕上げる手順、よくある失敗をまとめました。

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先に結論を書きます。

ひとり事業主がショート動画でAIに任せるのは「字幕を付ける」と「無言の間を詰める」の2つだけで十分です。どちらもInstagramやYouTubeの公式機能で無料でできます。台本・撮影・最後の確認は自分でやります。そして、別のAI編集アプリを入れるなら、先に「預けた動画をどう使われるか」の規約を確認してください。

なお、この記事は特定のアプリを使い比べた体験談ではなく、各社の公式情報(2026年10月時点)を整理したものです。

なぜ動画は続かないのか。重いのは「撮影」より「編集」

お店や教室の短い動画を始めた人がやめる理由で多いのは、撮るのが面倒だからではなく、30秒の動画に1時間かけてしまうからです。中身を見ると、時間を食っているのはだいたい次の2つです。

  • 字幕を1文字ずつ打つ。 音を消して見る人が多いので字幕は欲しい。でも手で打つと、30秒の動画でも15〜20分かかります
  • 「えー」「あのー」や無言の間を切る。 1秒ずつ探して切るのは、慣れないと一番時間がかかる作業です

この2つは、AIが得意な「聞き取り」と「無音の検出」そのものです。逆に言えば、ここ以外をAIに任せても、時間はあまり減りません。

作業ごとの判断表

作業 AIに任せるか 理由・注意
字幕(話した言葉を文字に) 任せる 公式機能で無料。ただし店名・商品名・地名は必ず間違えるので直す
無言の間・言いよどみのカット 任せる 切りすぎると早口に聞こえるので、最後に1回通して見る
台本(何を話すか) 骨組みだけ相談 伝えたいことが決まっていないと、AIは「誰の店でも言える話」を作る
撮影 自分 お客様・他のお客様の車・郵便物などが映り込んでいないかは人の目でしか防げない
BGM アプリ内の曲を慎重に 事業用アカウントでは使える曲が限られることがある。「無料」の表示だけで判断しない
AIで作った人物・声で話す動画 やらない 本人が話していると勘違いされる。各SNSでAI表示の対象になる
投稿前の最終確認 自分 字幕の誤字・映り込み・言い過ぎ(「絶対」「治る」など)を見る

自動字幕は「公式の無料機能」で足りることが多い

最初から有料のAI動画アプリを探す必要はありません。公式情報で確認できたものを挙げます。

  • Instagram公式の編集アプリ「Edits」:App Storeの説明では、無料の動画エディターで、キャプション(字幕)を自動生成でき、書き出した動画に透かし(アプリ名のロゴ)が入らないとされています。アプリ内課金の表示はあります
  • YouTubeの自動字幕:日本語に対応しています。ただしYouTubeのヘルプ自身が「品質にばらつきが出る可能性」があり、内容を必ず確認して直すよう書いています

つまり、**どの道具を使っても「AIの字幕は直す前提」**です。ここを省けるツールはありません。

別のAI編集アプリを入れる前に読む1行

字幕のデザインや自動の切り抜きが優秀な編集アプリはたくさんあります。ただ、入れる前に利用規約の「あなたのコンテンツ」の項目だけは読んでください。

例えば、人気の編集アプリCapCutの利用規約(2026年4月15日付)では、利用者がアップロードした動画などについて、運営会社とその関連会社に「全世界・無償・永続的」に使える許可を与える内容になっています。ユーザー名や画像・肖像について、広告的な使い方を含む許可の記載もあります。

これが実際にどう運用されているかまでは分かりません。ただ、お客様の顔や声、店内の様子が映った動画を預けるかどうかを決める材料としては十分です。判断の分かれ目はこうです。

  • 映っているのが自分と商品だけ → 規約を読んだ上で、使ってよいと判断する人は多いでしょう
  • お客様・従業員・家族が映っている → その人たちの了解は「SNSに載せること」までで、「海外の編集アプリの会社に使う許可を出すこと」までは含まれていません。公式アプリの機能だけで済ませるほうが無難です

規約の解釈に迷う場合や、お客様の映像を継続的に扱う場合は、専門家に確認してください。

1本15分で仕上げる手順

30秒〜1分の動画を想定した流れです。時間は目安です。

  1. 言いたいことを1文で書く(2分)。 「秋の新メニューは〇〇で、平日限定です」のように。ここが決まらないなら撮らない。AIに台本を頼むのは、この1文が決まってからにします
  2. 縦向きで、1回で撮る(3分)。 言い間違えても止めずに最後まで話す。間違いはあとでカットできます
  3. 自動字幕と無音カットをかける(1分)。 公式アプリの機能で十分です
  4. 字幕の固有名詞を直す(5分)。 店名・商品名・人名・地名・数字(価格や日付)を重点的に。ここが一番大事な5分です
  5. 最初の2秒を見直す(2分)。 最初に一番伝えたいことが出ているか。出ていなければ、言いたいことの1文を冒頭に字幕で置く
  6. 音を消して最後まで見る(2分)。 字幕だけで意味が通じるか、映り込みがないかを確認して投稿

手で字幕を打っていた人なら、1本あたり15〜20分は縮むはずです。逆に言えば、それ以上縮めようとして手順4と6を飛ばすと、後で直す手間のほうが大きくなります。

よくある失敗と回避策

  • 店名や商品名が別の漢字になったまま投稿する。 自動字幕は、珍しい名前ほど間違えます。いつも間違える言葉はメモしておき、毎回そこだけ見るようにすると早くなります
  • 価格や日付の数字を聞き間違えたまま出す。 「1,500円」が「1,050円」になっていても、話している本人は気づきにくいものです。数字は音を消して字幕だけで確認します
  • 無音カットのかけすぎで早口になる。 間をすべて詰めると、落ち着いた雰囲気のお店ほど「せかせかした印象」になります。詰めすぎたと感じたら、カットの強さを弱めます
  • アプリの「無料で使える曲」を何も考えずに付ける。 事業用アカウントでは使える曲が限られていたり、別のSNSに転載したときに著作権の申し立てを受けたりすることがあります。迷ったら、各SNSの公式ヘルプで事業用アカウントの音楽の扱いを確認するか、曲なしで出します
  • AIに台本を全部書かせる。 「季節の変わり目、こんなお悩みありませんか?」のような、どの店でも言える冒頭になります。お客様に実際に聞かれたことを1つ入れるだけで、ぐっと自分の店の動画になります
  • 映り込みの確認を忘れる。 背景のホワイトボードの予約表、窓の外の車のナンバー、レジ横の伝票。AIは見つけてくれません

向かない人・向かない場面

  • 話すのがどうしても苦手な人。 字幕とカットが楽になっても、撮る負担は残ります。写真数枚に文字を載せるスライド形式の動画のほうが続きます
  • 効果や結果を言いたくなる業種(健康・美容・お金など)。 字幕は文字として残るので、言い過ぎがそのまま証拠になります。話す内容を先に決め、字幕を必ず読み直してください
  • 月に1〜2本しか出さない人。 編集アプリを新しく覚える時間のほうが長くなります。公式アプリの自動字幕だけで十分です
  • お客様の施術・作業中の様子を撮りたい人。 了解の取り方と映る範囲を先に決める必要があり、AI以前の問題です

まとめ

  • AIに任せるのは「字幕」と「無言の間のカット」だけで十分。どちらも公式機能で無料でできる
  • 自動字幕は必ず間違える。特に固有名詞と数字は自分で直す
  • 別のAI編集アプリを入れる前に、規約の「あなたのコンテンツ」の項目を読む。お客様が映る動画は公式機能で済ませるのが無難
  • 台本・撮影・映り込みの確認・言い過ぎのチェックは自分でやる
  • 1本15分を目安に、手順4(固有名詞)と6(音なしで確認)は飛ばさない

SNSのどこまでをAIに任せるかの全体像は「SNS投稿をAIにどこまで任せるか」に、AIで作った人物や声を使うときの表示は「AIで作った画像や文章に「AI使用」と書くべきか」に、お客様の情報をAIに渡すときの線引きは「AIに入れていい情報・ダメな情報」にまとめています。

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