キャンセルポリシー(キャンセル料の決まり)をAIで作る。AIのひな形は強すぎるので、%は「自分の損」から逆算して決める

予約制の仕事をしていると、当日キャンセルや無断キャンセルの決まりを作りたくなります。文面はAIに作らせて構いません。ただしAIに丸投げすると「当日100%」「理由を問わず返金しません」のような強いひな形が出てきます。お客様が一般の個人なら、キャンセル料は「お店に実際に出る平均的な損」を超える部分が無効になる法律があります。自分の損を計算して%を決める手順、時期ごとの決め方の表、AIへの頼み方、よくある失敗をまとめました。

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結論から書きます。キャンセルポリシーの文面づくりはAIに任せてかまいません。ただし「何日前から何%」という数字はAIに決めさせず、自分の店に実際に出る損から逆算して先に決めてください。

AIに「キャンセルポリシーを作って」とだけ頼むと、ネット上によくある強めのひな形が出てきます。お客様が一般の個人の場合、それをそのまま使うと、いざというときに請求できない決まりになることがあります。

AIのひな形をそのまま使うと何が困るのか

AIが出してくる文面には、だいたい次のような言葉が入ります。

  • 「当日のキャンセルは施術料金の100%を申し受けます」
  • 「理由の如何を問わず、一切返金いたしません」
  • 「予約後のキャンセルはすべて有料です」

見た目はしっかりしていますが、お客様が一般の個人(事業ではなく自分のために申し込む人)の場合、消費者契約法第9条という法律がかかります。ざっくり言うと、キャンセル料のうち「同じような予約がキャンセルされたときに、お店に平均して出る損」を超える部分は無効、という決まりです。

つまり「100%」と書いてあっても、実際の損が半分なら、残りの半分は払ってもらえない可能性があります。決まりを作った意味が薄れるうえ、お客様ともめる種になります。

もう1つ、同じ条文には「お客様から説明を求められたら、キャンセル料の算定の根拠の概要を説明するよう努める」という定めもあります(第9条第2項)。「なぜ50%なんですか」と聞かれたときに答えられる根拠を、手元に持っておくほうが安全です。

なお、相手が会社や事業者(法人の取引先など)の場合、この法律はかかりません。その場合は契約書の話になるので、契約書をAIに読ませる記事も参考にしてください。

法律の扱いは、個別の事情で変わります。金額が大きい仕事(数万円以上の予約、イベント、長期の講座など)は、作ったポリシーを消費生活センターや弁護士など専門家に一度見てもらうことをおすすめします。

「自分の損」を出す手順(20分)

%を決める前に、キャンセルが出たときに実際に何を失うかを紙に書き出します。

  1. その予約のために先に使ったお金を書く(5分)。仕入れた材料、取り寄せた商品、会場の予約料、交通費など。キャンセルされても戻ってこないものだけ
  2. その時間に別のお客様を入れられたかを考える(5分)。3日前なら埋まることが多い、前日はたまに埋まる、当日はまず埋まらない、のように、時期ごとに「埋め直せる見込み」を書く
  3. 時期ごとに「平均してこれくらい損をする」を出す(5分)。例:当日は埋め直せないので売上のほぼ全部が損、ただし材料を使わずに済むならその分は差し引く
  4. 計算メモを保存する(5分)。お客様に聞かれたときの説明の元になります。ノートでもスマホのメモでもかまいません

ここで出た数字が、そのまま%の上限の目安になります。AIには、この数字を渡してから文面を作らせます。

時期ごとの決め方の表

業種によって損の出方が違うので、よくある形を整理しました。数字は例で、自分の計算メモを優先してください。

時期 埋め直せる見込み 先に使ったお金がある場合 先に使ったお金がない場合
1週間以上前 高い 使ったお金の実費だけ 無料
3日前〜前日 ときどき埋まる 実費+売上の一部 売上の一部(例:30〜50%)
当日 ほぼ埋まらない 実費+売上の大半 売上の大半(例:50〜100%の間で根拠に合わせる)
無断キャンセル 埋まらない 当日と同じ考え方 当日と同じ考え方

判断の分かれ目は次のとおりです。

  • 材料や商品を先に用意する仕事(料理教室・オーダー品・お弁当など):実費の部分は根拠がはっきりしているので、そこは必ず入れる
  • 時間だけを売る仕事(施術・レッスン・相談など):埋め直せるかどうかがすべて。当日でも予約待ちのお客様がいて埋まりやすいなら、100%は高すぎる
  • キャンセル待ちが多い人気の枠:埋め直せる見込みが高いので、%は低めでも損はあまり出ない

AIへの頼み方

数字を決めたら、ここからはAIの得意分野です。次のように頼みます。

「次の条件で、予約ページに載せるキャンセルポリシーを書いてください。 ・予約日の3日前まで:無料 ・2日前〜前日:料金の30% ・当日・無断:料金の50% ・連絡方法はLINEか電話 ・病気やけが、災害、交通機関の止まった場合は相談に応じる ・ここに書いた数字と条件以外は足さないでください。「一切」「いかなる理由でも」のような言葉は使わないでください」

最後の1行が大事です。書かないと、AIは親切のつもりで「振込手数料はお客様負担」「再予約は1回限り」のような決まりを勝手に足します。

出てきた文面は、次の3点だけ見ます。

  1. 自分が決めた日数と%がそのまま入っているか
  2. 自分が決めていない条件が足されていないか
  3. 「何日前」の数え方(予約日の前日の何時までか)がはっきりしているか

作ったあとにやること

決まりは、お客様が予約する前に見られる場所になければ意味がありません。

  • 予約ページ・ホームページに載せる。予約の確定ボタンの近くが理想です
  • 電話やLINEで受けた予約にも伝える。予約確定の返信に、1〜2行の要約とポリシーのページへのリンクを入れる。予約の受け方を整える話は日程調整の記事にまとめています
  • 実際にキャンセル料をもらうときの文面も用意しておく。いきなり請求書だけ送るより、決まりの該当箇所を添えた短い連絡のほうがもめません。支払いが遅れたときの連絡は催促メールの記事が使えます

よくある失敗と回避策

  • AIのひな形の「100%」をそのまま使う:損の計算をしていないので、聞かれても説明できない。→ 先に20分の計算をして、根拠のある数字にする
  • 常連さんにだけ黙って免除する:免除自体は自由ですが、「あの人は払わなかった」と伝わると不公平感が出る。→ 「病気・けが・災害は相談に応じる」のように、免除の条件を文面に書いておく
  • ポリシーを作ったのに、予約の時点で見せていない:後から「聞いていない」と言われると請求しにくい。→ 予約確定の返信に必ずリンクを入れる
  • 「何日前」の数え方があいまい:「前日まで」が前日の0時なのか営業終了までなのかで、ほぼ確実にもめる。→ 「予約日の前日18時まで」のように時刻まで書く
  • ホームページの自動応答にキャンセル料を答えさせる:AIが条件を言い換えて間違えると、その答えがお店の約束として扱われることがある。→ 自動応答はポリシーのページに案内するだけにする(自動応答の記事)

向かない人・向かない場面

  • 1件の金額が大きい仕事(結婚式関係、旅行の手配、長期の講座の一括払いなど):損の計算が複雑で、もめたときの金額も大きい。AIで作った文面は下書きにとどめ、専門家に見てもらってから使ってください
  • 取引先が会社や事業者だけの人:キャンセルポリシーより、見積書や契約書にキャンセル条件を書くほうが合っています。見積書の記事を参考にしてください
  • キャンセルがほとんど出ていない人:月に1件もないなら、決まりを作るより今のやり方のままで十分なこともあります。決まりを目立たせると、かえって予約の敷居が上がる面もあります

まとめ

  • キャンセルポリシーの文面はAIに任せてよい。%と日数は自分で決める
  • お客様が一般の個人なら、キャンセル料は「平均的な損」を超える部分が無効になりうる(消費者契約法第9条)
  • 損の計算は20分。先に使ったお金と、埋め直せる見込みを時期ごとに書き、メモを残す
  • AIには「数字と条件以外は足さない」「強い言葉を使わない」と明記して頼む
  • 予約の前に見せる。金額が大きい仕事は専門家に一度確認を
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