翻訳はDeepL・Google翻訳・AIチャットのどれでやるか。精度より先に「その文章に名前や連絡先が入っているか」で決める
翻訳ツールの比較記事は「どれが自然に訳せるか」の話ばかりです。でも仕事で先に見るべきは、訳す文章にお客様の名前・連絡先・取引の中身が入っているかどうか。DeepLの無料版は、規約で機密情報・個人情報の入力を認めていません。文章の中身で道具を振り分ける判断表、無料のまま安全に使う4つの手順、有料版に払う分かれ目、よくある失敗をまとめました。
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結論から言うと、翻訳ツールは「訳のうまさ」ではなく「訳す文章の中身」で選びます。お客様の名前や連絡先、取引の金額が入った文章を、無料の翻訳サイトにそのまま貼るのはやめてください。たとえばDeepLの無料版は、利用規約で機密情報や個人情報を入れることを認めていません。
この記事は、店主が各ツールの精度を測り比べた話ではなく、公式の規約や説明を整理した話です(2026年10月時点)。
比較記事が書いていない「規約」の話
「DeepLとGoogle翻訳とChatGPT、どれが自然か」という記事はたくさんあります。そして、どれも「今はどれもかなり自然」という結論になりがちです。ひとり事業主の仕事なら、訳の差で困る場面はそれほど多くありません。
困るのは、入れてはいけない文章を入れてしまうことです。
DeepLの無料サービス(翻訳とDeepL Write)の利用規約には、次のような内容が書かれています。
- 入力した文章とその訳文を、一定期間保存して、翻訳の仕組みを鍛える(学習)ために使うことがある
- 無料サービスで、機密情報や個人情報を含む文章を扱ってはいけない。扱うなら有料のDeepL Proで
一方、DeepL Proの説明では、Proの利用者の文章は学習に使わないとされています。
つまり無料版は「安全かどうか分からない」のではなく、そもそも規約上、お客様の情報を入れる場所ではないということです。ここを知らずに、海外のお客様からの問い合わせメールを丸ごと貼っている人は少なくないはずです。
Google翻訳の無料版については、店主が調べた範囲では「仕事の機密を入れてよい」と明記した公式の説明は見つかりませんでした。なので、**DeepL無料版と同じ扱い(お客様の情報は入れない)**にしておくのが無難です。
文章の中身で振り分ける判断表
迷ったら、訳したい文章を次の4つのどれかに当てはめてください。
| 訳したい文章 | 例 | 使う道具 |
|---|---|---|
| ① だれの情報も入っていない | 一般向けのお知らせ、メニュー、営業時間の案内、海外サイトの記事 | 無料の翻訳サイトでOK |
| ② お客様の名前・連絡先が入っている | 予約の問い合わせメール、注文の確認 | 名前や連絡先を消してから無料翻訳、または「学習に使わせない」設定にしたAIチャット |
| ③ 取引の中身が入っている | 見積もり、金額の交渉、納期のやり取り | 有料の翻訳(DeepL Proなど)か、設定済みのAIチャット。固有名詞は伏せる |
| ④ 契約書・法律に関わる文書 | 海外との契約書、規約、返金の約束 | 道具で訳したものを根拠にしない。専門家(翻訳者・弁護士など)に確認 |
ポイントは、②と③は「消してから入れる」か「入れてよい契約の道具を使う」かの二択だということです。何も考えずに貼ってよいのは①だけです。
④は道具の問題ではありません。契約の言葉は、1語の違いで責任の範囲が変わります。訳文はあくまで「中身をざっくり知るための参考」にして、サインする前には必ず専門家に確認してください。
無料のまま安全に使う4つの手順
月に数回しか翻訳しない人は、有料版を契約しなくても、次の手順でほとんどの用は足ります。
- 貼る前に、名前・メール・電話・住所を記号に置き換える 「John Smith様」→「A様」、電話番号→「(電話)」のようにします。訳に必要なのは文の意味で、名前ではありません
- 金額と日付は、置き換えずにそのまま残す ここを消すと訳の確認ができません。そのかわり、③に当たる取引の話は無料サイトには入れない、と決めておきます
- 訳文を、もう一度日本語に訳し戻して読む 英語が読めなくても、訳し戻した日本語がおかしければ、元の訳もおかしいと分かります。手順は英語メールの確認手順に詳しく書いています
- 訳文に、記号にした名前を自分で戻してから送る 「A様」のまま送るのが一番多い失敗です。送信前に「A」「(電話)」で検索してください
この4つで、1通あたり2〜3分ほど手間が増えます。週に1〜2通なら、有料版を契約するより安上がりです。
AIチャットで訳すときの注意
ChatGPTやClaude、Geminiなど普段使っているAIチャットでも翻訳はできます。良いところは、「丁寧な言い方で」「相手は初めてのお客様」のように、言い回しの指示を出せることです。お詫びや断りなど、気持ちの伝え方が大事な文章は、翻訳サイトよりAIチャットのほうが向いています。
ただし注意点が2つあります。
- 「入力内容を学習に使わせない」設定を先に確認する。設定の場所はサービスごとに違うので、ヘルプで探してください。そして、この設定をしても個人情報を入れてよいことにはなりません(理由はAIに入れていい情報・ダメな情報に書いています)
- AIは頼んでいない一言を足すことがある。「ぜひまたお越しください」「特別に対応します」のような、元の文にない約束が入っていないか、訳し戻して確かめます
有料版に払う分かれ目
DeepL Proの個人向けプランは、月千円台からです(表示は地域や支払い方法で変わるので、公式の料金ページで確認してください)。
払う価値があるのは、次のどれかに当てはまる人です。
- 取引の中身(③)を訳す回数が、週に何度もある:毎回伏せる手間のほうが高くつきます
- ファイル(WordやPDF)をそのまま訳したい:海外の取引先から資料が届く人
- お客様から「情報の扱い」を聞かれる仕事をしている:「規約上、学習に使われない契約の道具で訳しています」と答えられることに価値があります
逆に、メニューや案内文(①)を年に数回訳すだけなら、無料で十分です。そして、普段からAIチャットの有料版を使っている人は、翻訳のためだけにもう1つ契約する前に、AIチャットで足りないか1か月試してください。サブスクを増やしすぎない考え方はAIの無料版と有料版の違いにまとめています。
よくある失敗と回避策
- 問い合わせメールを、署名ごと無料翻訳に貼る:名前・電話・住所が全部入ります。→ 本文だけを切り取り、手順1の置き換えをしてから貼る
- 「A様」のまま返信してしまう:→ 送信前に記号で検索する(手順4)
- 訳文の金額や日付を確かめない:「10/11」が10月11日か11月10日か、国によって読み方が違います。→ 日付は「October 11」のように月を英語で書いてもらう
- 契約書を翻訳ツールの訳で理解したつもりになる:→ 判断表の④。訳は参考までにして、専門家に確認する
- ツールを3つも4つも使い分けようとする:覚えきれず、結局いつものに全部貼ってしまいます。→ 「①は無料サイト、それ以外はAIチャット」くらいの2本立てで十分
向かない人・向かない場面
- 医療・法律・お金の取り決めなど、間違えると相手の体やお金に関わる文章が多い人:道具の訳だけで出さず、人の確認を前提にしてください
- お客様の個人情報を日常的に外国語でやり取りする仕事:無料ツールの工夫では追いつきません。契約や管理の仕組みから考える必要があるので、専門家に相談してください
- 英語で何度もやり取りが続く相手がいる人:毎回の翻訳より、よく使う返信を日本語と英語のセットで作り置きするほうが速くて安全です
まとめ
- 翻訳ツールは精度より先に「文章の中身」で選ぶ
- DeepLの無料版は、規約で機密情報・個人情報の入力を認めていない。Google翻訳の無料版も同じ扱いにしておく
- お客様の名前・連絡先は記号に置き換えてから訳し、送る前に戻す
- 取引の中身を週に何度も訳す人、ファイルを訳したい人は有料版を検討。メニューや案内を年に数回なら無料で十分
- 契約書は訳文を根拠にせず、必ず専門家に確認
外国のお客様向けのメニューや案内表示を作るときの確認の仕方は、お店のメニューや案内表示をAIで多言語にするもどうぞ。