お店のメニューや案内表示をAIで多言語にする。人に確認してもらう行は「アレルギー・金額・禁止事項」の3種類だけ

外国のお客様向けのメニューや案内表示は、AIと無料の翻訳ツールでほぼ作れます。ただし、訳の上手い下手で迷うのは時間の無駄です。見るべきは「間違えるとお金や体に関わる行」だけ。人に確認してもらう3種類の行、英語が読めなくても自分で確かめられる逆翻訳の手順、AIが勝手に足す「気の利いた一言」の消し方をまとめました。

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結論から言うと、お店のメニューや案内表示の多言語化は、AIと無料の翻訳ツールで十分に作れます。訳が自然かどうかで悩む必要はありません。外国のお客様は、少しぎこちない英語でも中身が分かれば注文できます。

人に確認してもらうべき行は3種類だけです。アレルギー・原材料に関わる行、金額とその条件の行、禁止事項やルールの行。ここだけは訳の間違いがそのままお金や体の問題になるので、AIの出力を信じずに人の目を通します。それ以外の行は、この記事の「逆翻訳」で自分で確かめれば出して構いません。

この記事を読むと、どの行をAI翻訳のまま出してよく、どの行を人に見てもらうかを分けられるようになります。なお、翻訳ツールの料金や自治体の支援は店主が全部を使い比べたものではなく、公式情報を整理したものです。

迷うべきは「自然さ」ではなく「間違えたら何が起きるか」

多言語メニューの記事を読むと「機械翻訳は不自然」「ネイティブに頼むのが一番」と書いてあります。それは正しいのですが、ひとり事業主がそこで止まると何も進みません。写真付きで料理名が載っているだけでも、お客様が入りやすくなるのは確かです。

分かれ目は、その行を間違えたときに何が起きるかです。

  • 「鶏の唐揚げ」が少し変な英語になっても、お客様は写真を見て注文できます。損はありません
  • 「落花生を使っています」が抜けたり、「使っていません」と逆に訳されたりすると、体の問題になります
  • 「お一人様1品ご注文ください」が「1品まで」と訳されると、会計でもめます

つまり訳の品質を全体で上げるのではなく、危ない行だけ人の目を通すのが、時間とお金の使い方として正解です。

行ごとの判断表

メニューや案内表示を1行ずつ見て、次のどれに当たるかを決めます。

行の種類 例 どう扱うか
料理名・商品名・サービス名 唐揚げ、カット+シャンプー、60分コース AI翻訳+逆翻訳で確認して出す。写真か一言説明を添える
雰囲気・おすすめの説明 当店自慢の、ふわふわの AI翻訳のままで可。むしろ削ってもいい
アレルギー・原材料 卵・小麦を含む、ピーナッツ不使用 人に確認。原材料そのものも自分で再確認する
金額と条件 税込、サービス料10%、お通し代、キャンセル料 人に確認。数字と「含む/含まない」を重点的に
禁止事項・ルール 撮影禁止、入れ墨お断り、予約のみ、現金のみ 人に確認。否定の向きが逆になりやすい
営業時間・定休日 11:00〜14:00、水曜定休 逆翻訳で数字と曜日だけ確認

「人に確認」といっても、翻訳会社に全部出す必要はありません。確認が要るのは通常5〜10行です。英語ができる知人、外国人の常連さん、自治体の無料相談、ネットの翻訳サービスのどれかで、その行だけ見てもらいます。行数が少ないので、お礼程度の費用で済みます。

飲食店なら、東京都や沖縄県など、自治体が無料で多言語メニューを作れるサイトを用意している所があります。東京都の「EAT Tokyo」は13言語の選択肢があります。お住まいの都道府県名と「多言語メニュー 作成支援」で検索すると見つかります。ただし、こうしたサイトも機械翻訳が基本なので、3種類の行を人に見てもらう考え方は同じです。

英語が読めなくても自分で確かめる「逆翻訳」の手順

人に見せる前の、自分でできる確認です。1枚のメニューなら15分で終わります。

  1. 日本語の原稿を先に整える(5分)。AIに訳させる前に、曖昧な表現を消します。「お通し」なら「席料として最初に小皿が出ます(1人400円)」のように、中身と金額を日本語で書き足してから訳させます。日本語が曖昧なまま訳すと、AIがそこを勝手に補います
  2. AIに訳させる(2分)。ChatGPTやClaudeに「飲食店のメニューです。英語に訳してください。説明を足さず、原文にある内容だけ訳してください」と頼みます。「説明を足さず」が重要です(理由は後述)
  3. 別の会話で日本語に戻させる(3分)。新しいチャットを開き、英訳だけを貼って「この英語を日本語に直訳してください。推測で補わないでください」と頼みます。同じ会話の中で戻させると、AIは元の日本語を見ているので、間違いがあっても元どおりの日本語を返してきます。必ず別の会話でやります
  4. 元の日本語と戻ってきた日本語を並べて比べる(5分)。英語は読まなくていいです。見るのは数字・金額・「〜なし」「〜のみ」「〜禁止」の否定と限定・原材料の名前の4点だけ。ここがずれていたら、その行は訳し直すか人に見てもらいます
  5. 3種類の行だけ人に見せる。アレルギー・金額条件・ルールの行に印をつけて、その行だけ確認を頼みます

Google翻訳とDeepLはどちらも無料で使えますが、無料版には1回に訳せる文字数や月の上限があります。1枚のメニューなら問題になりませんが、ホームページ全体を訳すなら上限に当たります。上限の数字は変わるので、公式サイトで確認してください。

AIは「気の利いた一言」を勝手に足す

翻訳でいちばん多い失敗は誤訳ではなく、原文にないことをAIが書き足すことです。

「人気の一品」と書いただけなのに、英語では「新鮮な地元産の食材を使った」と足されていた。「禁煙」と書いたのに「喫煙スペースは外にあります」と足されていた。AIは読み手に親切であろうとして、それらしい情報を補います。しかし外にそんなスペースはない。この手の足し算は、チラシや案内文をAIに書かせるで書いた「盛り言葉」と同じ性質で、翻訳のときにも起きます。

対策は2つです。訳させるときに「説明を足さないでください」と最初に言うこと。そして逆翻訳で戻ってきた日本語が元より長くなっていたら、足された部分があると疑うことです。

お店の表示に書いた言葉は、お客様から見ればお店の約束です。AIが足した「地元産」や「喫煙スペース」も、掲示した時点であなたの約束になります。この考え方はAIの自動応答をお店に置くかで書いたことと同じです。

よくある失敗と回避策

  • 料理名だけ訳して終わる。「Oyakodon」と書かれても何の料理か分かりません。「鶏肉と卵をご飯にのせた丼」のような一言説明を日本語で書いてから訳させます。写真があれば説明は短くて済みます
  • 「含む」と「含まない」が逆になる。アレルギー行でいちばん怖い失敗です。逆翻訳で否定の向きを見るのはこのためです。原材料の行は、訳の確認とは別に実際の仕入れ品を見て中身も再確認します
  • 税込・税抜、サービス料の有無が消える。「1,500円(税込)」が「1,500」だけになる。数字が合っていても条件が落ちていれば会計でもめます
  • 言語を増やしすぎる。10言語に対応しても、確認する行が10倍になります。まず英語だけ。お客様の国籍が偏っているならその1言語を足す、で十分です
  • 一度作って放置する。値上げや品目の入れ替えで日本語だけ直し、外国語版が古いまま。日本語を直したら同じ日に外国語も直す、と決めておきます

向かない人・向かない場面

  • アレルギー対応を売りにしているお店。「卵不使用」「グルテンフリー」を看板にしているなら、その表示は翻訳会社か専門家に出してください。表示が間違っていたときの責任が、ひとり事業主には重すぎます。アレルギー表示のルール自体も、必ず保健所などの公式窓口で確認してください
  • 宗教上の食事制限(ハラールなど)に対応すると書きたい場合。対応の基準が国や宗派で違います。AIの訳だけで「対応しています」と書くのは危険で、ここも専門家の確認が要ります
  • 契約や法律に関わる文。宿泊約款、キャンセル規定、免責の文は、メニューと同じ感覚で訳してはいけません。やっていいこととダメなことは契約書をAIに読ませていいかで書きました
  • その場の会話。メニューや掲示は事前に確認できますが、会話はできません。会話は翻訳アプリで応急対応と割り切り、大事な約束はメニューや掲示の文を指さして確認します

まとめ

  • 多言語化はAIと無料ツールで作れる。訳の自然さで悩まない
  • 人に確認してもらうのはアレルギー・金額条件・禁止事項の3種類の行だけ。通常5〜10行で済む
  • 自分での確認は別の会話で逆翻訳し、数字・否定・原材料だけ日本語で突き合わせる
  • AIは原文にない「気の利いた一言」を足す。「説明を足さないで」と先に言い、戻った日本語が長くなっていたら疑う
  • まず英語だけ。日本語を直したら同じ日に外国語も直す

外国のお客様からメールで問い合わせが来たときの返し方は、英語の問い合わせメールにAIで返信するにまとめています。

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